
田辺昭人です。最後の質問となりました。よろしくお願いいたします。
私は平成22年度予算案および市長施政方針について、吉田市長に質問させていただきます。
市長は、示されたマニフェストの中で「早めに取り組む課題」のひとつとして、地域経済の活性化を掲げられています。また、施政方針のなかでは、「急務の課題」と表現され、目指すべき横須賀の姿を実現するために全力で取り組むとの、さらに強い姿勢を示されました。
一昨年の世界金融危機は、日本経済に大きな打撃を与え、その影響はいまだに暗い影を落としています。市長が述べられているように、多くの人が将来に不安を覚え、その結果、消費の停滞・雇用の低迷・賃金の減少という、まさに負の連鎖といった状況に陥っております。その傾向は、あまねく日本経済全体の現状であります。
その中で、横須賀に元気がない原因としては、これまで横須賀を支えてきた基幹産業の低迷と撤退、その影響による地元の商工業の疲弊が挙げられます。
戦後、これまでの海軍の町から平和産業港湾都市への転換が図られ、自動車・造船など輸送機器、電機関係等、いわゆる「ものづくり」製造業がこの町を支えてきました。
しかし、近年の産業構造の変化やグローバル化の進展により、大きな転機を迎えることとなりました。直近の市内事業者数はここ10年の間に437社から311社へ28.8パーセント減、そして従業員数は23,199人から14,626人37パーセント減へと激減しております。
こうした状況の下、雇用が厳しくなったのは当然の結果といえると思います。さらにはここ数年の経済の悪化に伴い、より厳しい現状となっています。
しかしながら、地域経済の活性化を進めるには、雇用の確保が重要であります。雇用のないところに消費はありません。
「まずは、雇用。そして循環する経済を」と市長は言われていますが、企業誘致、それに伴う施策の充実など積極的な取り組みと、内外に向けた情報の発信と受信がなければ、現実感のない、まさに「絵に描いたもち」になってしまうと私は考えます。
そこで、一問目として、地域経済の活性化について市長にお伺いいたします。
市長は、マニフェストの中で示され、2年後をめどに、「(仮称)地域経済活性化基本条例」なるものを制定するとされています。しかし今まさに、疲弊した地元経済に対する道しるべを市長として、早急にお示しになるべきと考えますが、その構想とは、中身とはどのようなものなのでしょうか。改めてその時期と共に、具体的にお示しください。
次に、市内中小製造業者に対する支援制度についてお尋ねいたします。
わが国では、全企業の99パーセント以上を中小企業が占め、全従業者の70パーセント以上が中小企業に従事するなど、中小企業は日本経済を支える大きな存在であります。
本市においても大規模工場は、事業所数にして全体の僅か3パーセントにすぎません。しかしながら、中小企業は、資本市場からの資金調達が困難であるなど、一般的に大企業と比較して資金調達の手段が限られています。本市では、このような中小企業の成長・発展のため、横須賀市中小企業制度融資をはじめとする施策が講じられております。
ものづくり技術開発促進事業補助金や、ものづくり設備活性化事業補助金などのほか、製造業等支援対策として、設備投資特別減税制度が新たに創設されました。この制度は、景気後退による設備投資意欲の低下を防ぎ、将来の成長力を維持していくため、新たに設備投資を行う製造業に対して、固定資産税を大幅に減額するという画期的な制度だと思います。
製造業は横須賀市の主要産業であり、今後もその位置づけを維持し続けなければならない。そのためにも質的な拡充を促進し、活力と創造性に満ちた新しい姿を目指していく意味において、本市における各施策は市内の製造業への強い後ろ盾であるといえましょう。
しかしながら、これら制度はその対象が、工業系地域に限定されています。
工業系地域とは言いながら、工業専用地域・工業地域に限定されており、準工業地域については、その対象外となっている現状です。
市内には、工業系地域以外でも、その地においてひたむきに事業に取り組み、独自の技術を活用した新たな事業展開を図ろうとする企業があることを市長はご存知でしょうか。
取り巻く厳しい経済環境のなか、このまま推移すれば、市内の製造業は、雇用力や生産力の低下が進み、衰退へと向かう可能性を否定できないことを考慮し、これまでの対象者要件となる用途地域について、緩和することが肝要と考えますが、市長の市内製造業の活性化に対するお考えはいかがでしょうか。お聞かせください。
次に企業誘致についてお尋ねいたします。
企業・観光客誘致のための特命担当の設置方法および、同担当を民間公募とする理由について質問の予定でしたが、先の新政会加藤議員の質問に対し、企業誘致についての特命担当は先送りにするとの答弁がありましたので、その設置方法については割愛しますが、これまで市長はこの特命担当について民間から公募するとしています。
そこで市長にお尋ねします。なぜ、民間公募の新たな職員を募らなければならないのか、また、現組織における「企業誘致推進課」「観光課」職員では、なぜだめなのかその真意と理由をお聞かせください。
また、蒲谷前市長は平成18年当時、トップセールスとして「韓国」「東京都大田区」へ企業誘致に自ら出向かれました。吉田市長は市外の企業、国外の企業に対して同様に働きかけをするお気持ちはお持ちでしょうか。企業誘致には、誘致に対する熱意と決してあきらめない根気が必要と思いますが、市長の企業誘致に対する思いをお聞かせください。
次に、積極的な企業誘致を推進するに当たり、その対象とする指定産業地域はYRPの未利用地8.5ヘクタールと久里浜港の未利用地1.2ヘクタールの2箇所のみと思いますが、市長の考える企業誘致の対象地はどこを想定されているのか、お示しください。
また、YRPについては、昨年8月進出が決定していたタンガロイが事業計画を中止したことは、親会社の事情とはいえ、大変残念な結果となりました。
情報通信が中心のYRPにとって、異業種ともいえるタンガロイの進出が実現していたならば、今後のYRPにとって大きな意義があったのではないかと思います。
YRPには現在65の機関が進出していますが、土地利用率は62パーセントほどにとどまっていると聞いています。
YRPの開設から10年以上がたちました。多くの人が携帯電話を手にしていることを考えれば、情報通信、とりわけ移動体通信は成熟産業になりつつあるのではないでしょうか。
YRPを今後さらに発展させていくには、タンガロイのような情報通信に頼らない異業種の研究・研修施設も広く誘致していくべきと考えますが、いかがでしょうか。市長のお考えをお聞かせください。
次に雇用に関する不安と新たな雇用創出についてお尋ねいたします。
基本計画策定の参考として市内小学生1500人、中学生765人を対象に調査したところ、今の地域に住み続けたいと思っている児童・生徒が8割を占めたとあり、一方、住み続けたくないと思っている児童・生徒の35パーセントが「将来、働くところがない」ことを理由に挙げているとの報告がありました。
本市に職場のないことが、将来への不安として数字に表れたものと考えますが、市長は、この子どもたちの持つ将来への不安を受け止め、どのような解消方法をお考えでしょうか、お聞かせください。
また、市長は示されたマニフェストの中で、この地域における雇用に触れて「市長自らがシティセールスを行い、今まで以上に誘致に力を入れ、雇用の場を創出し、特に通勤しなくても地元で勤めることができるようにします。」と述べられています。また、施政方針の中でも22年度は「シティセールス元年」と位置づけ、市長ご自身が先頭に立って本市の魅力や価値を売り込むなど、その取り組みを強化することを述べられています。
私は、本市において新たな雇用を創出するのであれば、これまで続けられてきた企業誘致以外に、支援業種の拡大を検討すべきと考えます。製造業のほか、衰退・疲弊する地域商業や、後継者問題を抱える農水産業に対して、積極的な施策を展開し、支援する必要があると考えます。
特に本市の農水産業は「雇用」に関して、非常に高いポテンシャルを持っていると私は考えております。
食の安心・安全が消費者に問われる今、消費地も近いという地の利を活かすことで、横須賀の農水産業は発展する可能性が大いにあります。津久井には観光農園があり、年間約13万人もの観光客が訪れ、収穫体験を楽しんでいると聞いています。
また、遊漁船も釣り人気が高まる中、漁業の一分野として確立し、認知されています。これまでの漁獲中心の漁業から脱皮し、地域特性を活かした「海業」としての水産業などに対して、多角的な支援政策の展開を行うことが、新たな雇用につながるものと思うのです。
そのためには、自主的な努力はもちろんですが、行政として積極的な支援を図るべき時期に来ていると認識していますが、市長はいかがお考えでしょうかお伺いいたします。
次に本市産業界のポテンシャルと新たな産業創出についてお尋ねいたします。
吉田市長は昨年の第3回定例会における市長就任の所信表明の中で、本市の産業的ポテンシャルとして、「造船・自動車産業などが牽引する第2次産業は、ものづくりの技術や伝統を受け継ぐ」と述べられています。市長ご指摘のように、本市内に多数ある製造業には、歴史と長い経験に基づく優れた生産技術や品質管理技術があります。それらが持つポテンシャルを引き出し、新たな息吹が生まれる環境の整備が望まれるところです。
そこで、ひとつ実例として挙げたいのは、1968年に発表され、後に映画化もされた「あゝ野麦峠」の舞台となった長野県諏訪市・岡谷市のケースです。
「あゝ野麦峠」は明治から大正、昭和初期にかけて、飛騨の農家の娘たちが、吹雪の中を危険な峠雪道の野麦峠を越えて諏訪、岡谷の製糸工場へ働きに出て、当時の富国強兵の国策において有力な貿易品であった生糸の生産を支えた女性工員達の姿を伝えたノンフィクションであります。その有力だった生糸貿易も世界恐慌後、新しい繊維であるナイロンの出現によって、一気に衰退することになります。
その後、同地域では製糸工業で培った精密技術を活かし、輸出用のオルゴールの生産で一躍有名になりました。さらに戦後その技術は、腕時計やカメラの精密工業に活かされ、「日本のスイス」と呼ばれるほどになりました。現在ではコンピュータ関連には欠かすことのできない精密モーター等の生産地として、代表的な地域となっています。時代と共に、生産される製品は変わっても、そこに息づく技術力は共通です。
また先般、「2011年度から11年間の基本計画審議会」の初会合では、多くの委員が人口減少を課題として取り上げ、特に転出者の抑制を求める意見が相次いだとのことであります。なかでも「流出は雇用の機会がないから、新しい産業を興さないと必ず減少する」と産業育成の重要性に触れていたとあります。
私見ではありますが、本市産業界が有するその技術を活かし、新たな産業の創出を図るために、産学官協働によるプラットホームの構築や創造など、今後必要なのではないでしょうか。
これらの点について、市長はいかがお考えでしょうか。お尋ねいたします。
おりしも来年末から、日産自動車追浜工場では、世界に先駆けて電気自動車の本格生産が始まります。また、東芝ライテックにおけるLEDライトの生産など明るい話題もあるなかで、今後、本市産業界の持つポテンシャルをどのように引き出そうとされるのか、市長の具体なお考えをお聞かせください。
また、本市経済部で毎年行っている「企業調査アンケート」のなかで、景況調査および企業情報の調査が実施されておりますが、このデータは市内企業の潜在能力を引き出し、対外的に有効な企業情報として、活用されているとお考えでしょうか。
その内容を一見しますと、市内の製造業という括りで食品製造から建築木工、金属加工等が一冊の資料となっています。これでは、企業の知りたい情報が適宜に入手できるとは思えません。
できれば業種別に整理して、その内容も規模の紹介だけでなく、各企業が持っている機械設備の能力など、その特性が分るようにすべきではないでしょうか。発注者はその機械の特性を知るだけで、企業の潜在能力を図ることができます。
今後、同様な資料作成にあたっては、企業間の情報入手のための一助となるよう、そのような点を考慮し作成すべきと考えます。
そうしたことで、新たな受注機会の創出が可能になるのではと考えますが、いかがでしょうか。市長のお考えをお聞かせください。
以上で、私の1問目とさせていただきます。
市長、ご答弁ありがとうございました。
それでは、再質問として企業誘致に関して,2点お尋ねいたします。
企業誘致や観光客誘致は本市にとって重要な課題と私も承知しております。敢えて特命担当として、民間から採用する非常勤職員の成果と掛かるコストに対し、評価の基準や評価期間をどう考えるのか。そこに、一定の成果を求めるのであれば、私はこのような責任の所在が明確でない採用方法に、疑問を感じざるをえません。
また、民間的な発想を職員に求めるということであれば、研修や出向という形で、ある期間、民間企業に派遣して、そのノウハウを身につけるなどということもあるのではないでしょうか。
いずれにしても評価のしにくい業務を民間出身とはいえ、非常勤職員として採用することは、本当に目的が達成できるのか甚だ疑問を持つところです。
本市にとって重要な課題である企業誘致や観光客誘致については、むしろ部局内におけるスペシャリストを育成すべきではと考えますが、市長はその点についての認識はいかがでしょうか。ご所見をお聞かせください。
次に市長のトップセールスについて、お尋ねいたします。
市長は先のご答弁でも企業誘致に関し、自らトップセールスの任にあたるとの姿勢を示されました。
私は前市長時代、蒲谷前市長自ら、強い意気込みを持って出かけたことについて評価をいたしました。しかし、一方でその後の対応についてはいささかの疑問を持っていました。
なぜなら、訪問後の経過や進捗・結果に対する説明が途切れてしまい、その後の状況については、なんら報告のないまま、尻切れトンボとなったからであります。韓国訪問の際は、訪問時の現地商工会議所で歓待されたとの報道がありましたが、トップセールスとなれば、それなりの歓待を受けるのは当たり前のことであり、こうした誘致活動の真価が問われるのは、むしろ、その後の地道な交渉や提案の作業ではないでしょうか。しかし、その後の誘致活動や経過についての説明は一切、ありませんでした。これでは、せっかくの「トップセールス」や「シティセールス」が、ただのパフォーマンスにすぎなかったと思わざるを得ないと考えます。
結果は別にしても、しっかりとその後の対応をとることは無論であり、訪問しただけとなれば、これは税金の無駄遣いと断ずるを得ません。本来であれば、訪問後、所管部局である「経済部」職員に、その後のフォローを指示するなどして、完結すべきと考えます。
また、私のサラリーマンの経験から思うと、担当の職員は役割や責任を託されることで、そのやる気も一層奮起するのではと考えますが、市長はいかがお考えでしょうか。市長のご所見をお聞かせください。
市長就任から7カ月、33歳という全国で3番目の若さあふれる市長として、広く衆目を集めるところと思います。また、同時に市民の期待もそれだけ大きいことと思います。
今、横須賀市民が求めているのは、この疲弊する本市経済の再生であり、一刻も早い雇用不安の解消であります。若さの特権は大胆な発想と行動力であり、吉田市長にはあらためて独創性を持って、しっかりと地域に根差した経済政策への取り組みを強く要望し、私の質問を終わります。
